【ETF解説】2258(USHY相当)の2025年7月期決算短信を分析!高利回りETFの実態とは?

当ブログでは、米国連続増配株ETFのDGRO(東証版は2014)=配当“成長”担当と、米ドル建てハイイールド社債ETFのUSHY(東証版は2258)=“高利回り”担当を組み合わせ、比率を調整して「自分に合った理想のインカム」を狙う DOSH戦略 をご紹介しています。
詳しくは DOSH戦略カテゴリ をご覧ください。
今回は、その“高利回り担当”である2258(iシェアーズ 米ドル建てハイイールド社債ETF)の 2025年7月期(1月12日~7月11日)決算短信 を読み解いていきます。公式資料は少し硬い内容ですが、この記事では投資初心者~中級者の方でも理解しやすいように解説していきます。
なお、決算単身はブラックロックの公式サイトから誰でもダウンロードして確認することができます。
純資産と発行口数の推移
まず注目したいのは、ファンド規模の拡大です。
- 純資産残高:7.13億円 → 10.35億円へ大幅増加
- 発行済口数:320万口 → 495万口に増加
ここで注意したいのは「千口単位での表記」です。決算短信では「3,200千口」「4,950千口」と書かれていますが、これは320万口→495万口の意味です。
資金流入が続いていることが数字からも明確に読み取れます。高利回りを狙う投資家からの需要がしっかり存在している証拠といえるでしょう。
基準価額の動き
一方で、基準価額は前期末の 222.949円 から、今期末は 209.163円 に下落しました。
「値下がり=失敗」ではありません。2258はもともと値上がり益を追求するETFではなく、分配金収入=インカムを得るための商品です。
この下落は米国金利や為替の影響による評価額の揺らぎであり、DOSH戦略の文脈ではあまり気にしすぎる必要はありません。
分配金の実態と利回りの試算
2025年7月期の10口当たり分配金は 62円。
1口あたりに直すと 6.2円 です。半年間で6.2円なので、単純年換算では 12.4円/口 となります。
これを期末基準価額 209.163円 で割り戻すと、
利回りは約5.93%(税引前)。
つまり「高利回り担当」として、目安通りの水準をしっかり維持しているわけです。
もちろんこれは将来を保証するものではありませんが、投資家にとっては安定したインカム源としての魅力が確認できます。
👉 実際の分配金の受取実績については、先日の投資記録記事でも公開しました。計算書ベースで税引後の手取り額まで紹介していますので、下記記事もぜひあわせてご覧ください。
損益の内訳を読み解く
今回の決算短信に記載されている損益科目を、分かりやすく整理すると次のとおりです。
- 受取配当金:30,290,938円(約3,029万円)
- 受取利息:10,530円(ほぼゼロに近い規模)
- 有価証券売買等損益:+11,505,634円(約1,151万円)
- 為替差損益:▲60,825,150円(約▲6,082万円)
- 当期純損失:▲20,039,770円(約▲2,004万円)
ポイントは、為替差損益が大きくマイナス要因となったことです。
運用収益(配当金・売買益)は着実にプラスを積み上げているのに、円高方向に振れた影響が最終損益を押し下げました。
ただし、これによって「分配金が出ない」というわけではありません。実際に分配金は安定的に確保されており、評価損益とキャッシュフローは分けて考えることが重要です。
為替リスクとヘッジの仕組み
2258は米ドル建て社債を投資対象とするため、日本円で運用結果を評価する投資家にとっては 為替変動リスク が常に付きまといます。
決算短信にも「為替予約取引」を行っている旨が記載されていますが、これはリスクをゼロにするものではありません。あくまで一定のヘッジ効果にとどまり、ドル円の動きがファンドの損益に影響を与える構造は変わらないのです。
この点を理解しておくと、「米国市場のUSHYが上がったのに、東証2258は下がった」という現象にも納得できるでしょう。
投資家目線で押さえるべき3点
初心者~中級者の方が今回の決算短信から学べるポイントは以下の3点です。
- 資金流入は継続 → 口数と純資産が増え、投資家需要の強さを確認
- 基準価額は短期的に下落 → だが本命は分配金収入。値動きに一喜一憂は不要
- 分配金利回りは約5.9% → 高利回り担当としての役割を果たしている
まとめ
2258(iシェアーズ 米ドル建てハイイールド社債ETF)の2025年7月期決算短信からは、以下が見えてきました。
- 発行済口数は 320万口→495万口 へ増加し、資金流入が続いている
- 基準価額は下落したが、分配金は安定しており 利回り約5.9% を維持
- 運用益はプラスを確保するも、為替差損が重く 純損失▲2,004万円 に
DOSH戦略における2258は「値上がり益」ではなく「インカム供給」が目的です。今回の短信からも、その役割がしっかり機能していることが確認できました。
今後もETFの公開情報をかみ砕いて解説し、投資家の安心につながる情報を発信していきます。お楽しみに!