なぜDGROに「不動産」がないの?—REIT除外のワケを解説

当ブログでは、米国連続増配株ETFのDGRO(東証版は2014)=配当“成長”担当と、米ドル建てハイイールド社債ETFのUSHY(東証版は2258)=“高利回り”担当を組み合わせ、比率を調整して「自分に合った理想のインカム」を狙うDOSH戦略をご紹介しています。
詳しくはDOSH戦略カテゴリをご覧ください。
その中でDGROの魅力を深堀りするメインコンテンツのひとつとしてDGRO構成銘柄紹介カテゴリを通じて、ETFの中身を解説してきました。
今回はその流れで「DGROに不動産が入っていない理由」を見ていきましょう。
DGROの業種別構成を確認すると…
まず、BlackRock公式サイト(2025年8月時点)の業種別構成比率を見てみましょう。
- 金融 20.27%
- 情報技術 17.99%
- ヘルスケア 16.71%
- 生活必需品 11.07%
- 資本財・サービス 11.05%
- 公益事業 6.81%
- 一般消費財・サービス 6.20%
- エネルギー 5.26%
- 素材 2.92%
- 通信 1.26%
- キャッシュ、デリバティブ等 0.45%
- その他 0.02%
- 不動産 0.00%
この一覧を見ると「えっ、不動産がゼロ!?」と驚く方も多いかもしれません。
実際にDGROには、不動産セクターの銘柄がまったく入っていないのです。
では、なぜこんなことになっているのでしょうか?
DGROのもとになっている指数のルール
なぜ不動産が入っていないのか?
DGRO(2014/東証)は「モーニングスター米国配当成長株式指数」に連動しています。
この指数の選定ルールには、
- 過去5年以上、連続で増配していること
- 配当性向(利益に対しての配当割合)が75%未満
- 利回り上位10%の高配当株は除外(利回りの罠を避けるため)
- REITは除外
という決まりがあります。
つまり不動産が入っていないのは、ETF設計の段階でルールとして外されているからなんです。
REITってなに?なぜ除外される?
REIT(リート)は不動産投資信託のことで、オフィスビルや商業施設などからの賃料収入を投資家に分配する仕組みです。
米国のREITは「利益の90%以上を投資家に配当すれば法人税が免除される」という仕組みがあり、常に利益の大半を分配します。
そのため高配当にはなるものの、成長投資に回す資金が少なく「配当成長力」という点では評価しづらいんです。
DGROは「安定して配当を増やす企業」を重視しているため、ルール上REITを対象外にしています。
不動産がゼロに見える理由
米国市場における不動産セクターはほとんどがREITで構成されています。
つまり「REITを除外=不動産セクターがほぼゼロ」という状態になるのです。
一応、REIT以外の不動産関連企業が条件を満たせば採用の可能性はありますが、実際はごく少数。結果としてDGROの不動産比率はゼロになっています。
不動産はインカム投資に不向きなのか?
決してそうではありません。
DGROは「配当を育てる企業」に注目しているから不動産を外しているだけで、不動産そのものが投資に向かないわけではないのです。
「不動産の高利回りも欲しい!」という方は、DGROとは別にREIT ETFを組み合わせればいいのです。
DOSH戦略の考え方は「役割の違うETFを組み合わせてバランスを作ること」。
- DGRO=育つ配当
- 2258(USHY)=安定した高利回り
- REIT ETF=不動産由来の太い配当
このように組み合わせることで、自分好みのポートフォリオを作ることができます。
当ブログでもREITやREITを組み入れたETFを使って配当月を補完する方法を紹介しています。詳しくはこちら記事をご覧ください。
他のETFとの比較も押さえておこう
ETFによってルールは大きく違います。
例えば:
- VYMやSPYDなどは高配当株を重視するためREITも含まれる
- DGROは「増配力」を重視するためREITを除外
同じ「配当」でも、重視するポイントが異なるだけで、中身は全然違うんですね。
この違いを知っておけば「DGROに不動産が入っていないけど大丈夫?」と心配する必要はなくなります。
投資家目線で見たメリット・デメリット
DGRO方式(REIT除外)のメリットは:
- 成長→増配の王道サイクルをしっかり反映できる
- 無理な高配当やリスクの高い企業を避けられる
- 減配リスクを抑えやすい
一方でデメリットもあります:
- 不動産からの太い利回りは入ってこない
- 金利低下でREITが上昇しても恩恵を受けられない
だからこそDGRO単体ではなく、2258(USHY)などと組み合わせてバランスを取ることが大切なんです。
まとめ
- DGROに不動産が含まれないのは「指数ルールでREITが除外されているから」
- REITは高配当だけど「配当成長力」では評価されにくい
- 不動産の魅力も欲しい場合は、REIT ETFを追加で組み合わせれば解決できる
今後も当ブログでは、DGROやUSHYを中心に「ETFの中身やルールを知ることで見えてくる投資の面白さ」を紹介していきますのでお楽しみに!